【在学生向け】履修の決め方について

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 こんにちは。ブログではさばかまと申す者です。

 ここ数日、履修に関する質問、それも重複する質問が多く、捌くのが大変なため、まとめて回答いたします。




未修1年生

 今年度の未修1年生は、カリキュラムが大幅に変更されています。

 これは、いわゆる「3+2」制度(※)のあおりを受けたものであり、21年度以降の未修入学者は法務研究科のカリキュラム構成に従って履修を組めば、3年生在学中に司法試験が受験可能になります。これを踏まえた上で、履修を組む必要があります。

※ザックリ説明すると、法学部を3年で早期卒業して、ロースクール既修者コース(2年)に入学、ロー3年生(既修2年目)在学中に司法試験受験が可能になる制度。この制度が2019年度法学部入学者から適用されます。
 したがって、2019・20・21(法学部)、22・23(ロー)という形で、この制度の適用を受ける最初の年度が進行することになります。すると、21年度に入学する未修1年生は、この制度の適用を受ける最初の世代と重なります。ロー3年で受験可能な要件に、2年次終了までに必修法律科目(48単位)及び司法試験選択科目(4単位)を修得することが求まれます。
 この結果、20年度未修入学者・21年度既修入学者以降はカリキュラムが大幅に変わります。それまでの先輩アドバイスは無意味とは言いませんが、この点を差し引いて聞く必要があることを、留意してください。もっとも、この文章を書いているさばかま自身、「3+2」以前の旧制度の人間なので、私のアドバイスもその辺を考慮していただけると幸いです。

 

必修科目

 21年度以降の未修1年生の履修科目は以下のとおりです。

春学期(16単位)

  • 民法Ⅰ(4単位)
  • 民法Ⅱ(4単位)※内容変更(債権総論のみ→債権総論・各論)
  • 基礎会社法Ⅰ(2単位)※新設
  • 刑法Ⅰ(2単位)※単位数減少(4→2)
  • 憲法Ⅰ(2単位)
  • 法曹倫理(2単位)※履修を3年次に移行可能

秋学期(16単位


法曹倫理はどうすべきか? 

 春学期の「法曹倫理」は1年生で履修を取りやめて、2又は3年生に履修を振り替えることが可能です。
 ただし、「3+2」制度に沿って、3年生のときに司法試験を受験する場合、2年生で法曹倫理を履修することはできません(※)。

 どうすべきかは、最終的には自己判断になりますが、以下の理由から法曹倫理は1年次で取得することーー履修を取り消さないことーーを推奨します。

  1. 1年生しか履修できない科目(臨床法学教育(基礎))では、法曹倫理の単位取得が前提となっているので、取得しなければ履修科目選択の幅が狭まる

  2. 2年生で法曹倫理を履修しない場合、2年から3年に進級する春に行われるエクスターンシップに参加できない

  3. 3年生の期末試験で大失敗して単位を落とした場合その時点で卒業不能が確定、すなわち留年になる。 

 法曹倫理を1年次に履修しないという選択は、上記のようなデメリットが生じます。
 これに対してのメリットは、「1年次に好きな科目を1授業選択できる」というだけの効果しかありません。高度のリスクがある選択に対し、全く割に合わないです。
 したがって、法曹倫理は履修登録を行っておくべきだと考えます。


※「3+2」制度を利用するためには、必修科目と司法試験の選択科目を2年生終了時までに履修することが必要です。2年生の履修上限は36単位ですが、この36単位は必修科目32単位、選択科目4単位で既に埋まってしまっており、2年生ではこれ以上単位取得ができません。よって、法曹倫理2単位は3年生に回さざるを得なくなります。

 なお、「3+2」制度に乗っからない-3年生で司法試験を受験しない-場合には、選択科目4単位は必ずしも必要なものではないから、この4単位枠にあてがうことは可能です。2年生で法曹倫理を受講する場合、3年生で在学中に司法試験を受験することができなくなりますので、ご注意ください(だからこそ、履修要綱には「原則、1年または3年」とあるのです)。

 

実際に履修を考えてみる

 以上のように考えると、春学期は自動的に16単位が埋まります。
 春学期の履修上限は20単位なので、あと2科目4単位を登録することが可能です。

 ただし、この場合年間履修上限単位に気を付ける必要があります。
 1年生はMAXで36単位しか取れません。そして、秋学期には16単位の必修科目があります。
 すると、そもそも1年生の年度は、2科目4単位しか自由に選択できる科目はないことが分かります。(【計算式】36ー(16+16)=4)

 4単位、どうしましょうか。いままでは、春学期に司法制度の基礎理論秋学期に法実務入門をオススメしていました。

 ただ、今年からはリーガルライティングの授業が復活しています。これも未修者にもオススメなのです。


 悩みましたが、各科目のメリット等を書いておくので、自己判断でお願いします。今後の履修トレンドは21年度以降に入学する皆さんが作るものなので、かつてのトレンドはこうだった、のような感じで捉えていただくと幸いです。

  • 司法制度の基礎理論(春学期・木4)
     予習負担も大きくないほか、入門的内容を行うので、意味不明に陥ることもありません。また、成績評価がレポートなので、期末試験が圧迫される心配もありません。
     一番大きいのは、卒業に必要な選択必修科目のうち、「基礎法等4単位」に充当される科目であることです。この4単位に当たる科目は、(言い方は刺激的かもしれませんが)司法試験と直結しないものが多く、いわゆるアカデミックな科目になります。卒業要件であることを意識して決めないと漏れる科目であり、取り忘れのため卒業できず留年というケースも現実に存在します。この4単位を埋めるのは、急務であるため、とっておきたい科目ではあります。
     もっとも、3年生の履修者も結構いたので、3年生に回してもいいかもしれません。

  • 法実務入門(秋学期・水3)
     司法制度の基礎理論同様、予習負担はなく、各講義ごと、その分野に詳しい弁護士がオムニバス形式(回転ずし形式)で講義を行う授業です。
     途中、模擬裁判をやってみたり、情報開示請求をしてみたりします。受講していて面白い授業であるほか、単位認定は合否判定になるため、GPAには影響しません。
     この授業は1年生しか取れず、3年生に回せないので、履修をオススメします。

  • リーガルライティング(春AC・秋BDそれぞれ)
     この授業は早稲田大学法務研究科を卒業後、助手として早稲田大学に勤務している若手研究者が、起案の仕方や添削をする授業です。授業内で簡単な設問を起案する回、その解説をする回、起案回、解説回と交互に行う形になります。
     担当する先生は二人とも新司法試験合格者ですので、実践的な論述方法を学ぶことができます。また取り扱う内容も、未修1年生を念頭に置いた「やさしい設問」なので、怯える必要はありません(もっとも、春学期に民事訴訟法をやるのは、前提となる民法の知識すらない状態でやることになるので、キツかったみたいです)。期末試験は、授業内で取り扱った起案課題を改めて解きなおし、手書きレポートとして提出する、というものでしたが、先生の変更があったので、これが維持されるかは不明です。
     この授業は3年生でも取れますが、未修者は、まず第一に「法律答案とは」という点をチェックしてもらう機会を早めに持つことが重要ですので、書いて添削してもらえるこの授業は、履修が勧められます。

  • 臨床法学教育(基礎) (春学期・水3)
     新規授業なので情報はないですが、1年生のみが履修可能かつ、春学期に実施する点を踏まえると、内容はかなりかみ砕かれた入門編の授業であることが推察されます。また、法実務入門同様、合否判定でありGPAに影響しないほか、平常点評価なので、期末試験の負担には全くなりません。
     また、1年生しか履修できないので、後回しが効きません。 


 以上の条件を整理すると、春の臨床法学教育(基礎)、秋の法実務入門は1年生限定科目であり、この2つを履修するだけで履修選択の余地はないという...。

 司法制度の基礎理論、単位選択の幅が狭すぎるがゆえに、このままだと3年生しか受ける人がいない状態とかになりかねいないような気もします。
 本格的に1年生の受講がなくなり始めた時には、授業自体が廃止されそうです…。

 

長くなったので、いったんここまで。2年生の決め方は改めて。