こんにちは。かまぼこです。
さて、先日の「令和4年司法試験を受けて」において、成績通知書が送達される前の、先入観のない状態での試験を受けた感触を示したところです。
今回は、その感触と実際の採点がどうだったかを検証するほか、3月に行われたTKC模試とも比較してみたいと思います。
Ⅰ 結果の分析
1 自己評価と結果
先日、ブログで示した自己評価は次のとおりです。
【民事系】:180点程度
民法A・商法A・民訴法A【刑事系】:50~60点程度
刑法C・刑訴法D【選択科目】:50点台
労働法A【結果】
770点~800点の間、1103~1285位程度の合格と予測します。
※短答141+論文360×1.75=770から、短答141+論文380×1.75=800までの幅です。
結果は、次のとおりでした。
【公法系】:100点台中盤(想定より+10~20程度)
憲法A・行政法A【民事系】:180点台前半(想定どおり)
民法A・商法A・民訴法A【刑事系】:60点台後半(想定より+10程度)
刑法B・刑訴法D【選択科目】:60点台前半(想定より+10程度)
労働法A【結果】(想定より+70~100)
870点台中盤、700位程度
※論文360~380を予想していたところ、410点台後半でした。
うーん…。
憲法は予想外にAでしたが、それ以外は刑法と労働法が若干上振れしたほかは、ほぼほぼ想定どおりの成績でした。
とくにこれといった分析もなく「受けた感触どおりでした」というしかないです 笑
※このブログの最後に、科目ごとに若干のコメントを付しておきます。
2 TKC模試と結果
それでは、2022年3月に行われたTKC模試と比較してみましょう。
【民事系】:150点台中盤
民法B(A)・商法C(B)・民訴法C(B)【刑事系】:80点台中盤
刑法C(B)・刑訴法E(D)【選択科目】:50点台中盤
労働法B(A)【結果】
780点台前半、600位程度(1450人中)
※短答96点
こんな感じでしたが、TKC模試のランク付けはA上位10%、B上位30%、C上位50%、D上位70%、Eそれ未満です。
令和4年司法試験では、A上位40%、B上位60%、C上位80%、Dそれ未満なので、これに引き直したものが、括弧書きのものです。
こうみると、憲法以外は、ほぼほぼTKC模試とも一致するという。
ちなみに、刑訴は1250台/1448人で、上位86.8%というスコアを叩き出していますが、これも本番と同様でしたね(本番は刑事系上位84%台)。
3 まとめ
私の司法試験の結果は、ほぼ手応えどおりのものであり、TKC模試ともさほど変わらないものでした。
もっとも、3月のTKCの結果は4月頭に発表され、本番が5月なので、結果を受けて修正しようにも修正できない時期です。一定の相関があるのは必然とも言えるでしょう。
なんだか、ほぼほぼ一致していると、あんまり分析することがないです…。
Ⅱ 科目ごとの分析
ほとんど前回のブログで書いてあるとおりなので、あまり書くことはないですが、軽い雑感だけコメントしておきます。
(1)労働法
若干、予想より上振れしました。
答案構成段階で気づいていた考慮要素を書き落とすなど、多少のミスがあったので伸び悩むかとも思いましたが、結果的には良かったです。
おおむね出題趣旨どおりの論点を書き、考慮をした感じです。
完全に書き落としたのは、東亜ペイントの規範の「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」の部分くらいです。出題趣旨で
労働者が自身の能力・経験を活用することの利益や労働者のキャリア形成への期待を、この判断枠組みの中でどのように(どの程度)考慮に入れるかという観点からの検討をすること(安藤運輸事件・名古屋高判令和3年1月20日労判1240号5頁等参照)が、論述の重要なポイントとなる。
とされているところ、通勤距離の問題や賃金の問題しか触れていなかったと思うので、重要なポイントを完全に喪失していました。
(2)憲法
正直、A評価でもD評価でも「へー、そうなんだ」という感想しかないです。
およそ法律答案とは言えない自由作文をしてきました。どの点が評価された結果なのか、見当すらつきません。
- 権利の性質の論述がいいかげんだった
23条をほぼ準備していなかった結果 - 違憲審査基準を使わなかった
処分違憲なので、裁量の逸脱濫用があったかの審査、結局は比較衡量でしか書いていない。
「とりあえず教授も大学もいっぱい主張があるみたいだけど、この主張は個人的に重要だと思うので、〇〇側のが筋通ってるよね」という無根拠のドンブリ勘定によるザクっとした畢竟独自の違憲判定を敢行。 - 参考判例を挙げなかった
脳内判例検索の結果、1件も該当判例がありませんでした。
本当に「全受験生の答案が崩壊した」ことが推察され、当初の採点基準を大幅に見直して採点が行われたような気がします。
(3)行政法
何度でも書くが、「B県法務室長(弁護士)」をどうにかしてくれ。
(4)民法・会社法・民訴法
民事系3科目は全て得意科目だったので、感触どおりといったところでしょうか。
どの科目も、文章の巧拙や多少のズレがあるにせよ、出題趣旨に沿った問題意識を持った論述をしていたので、相応に評価されたのだと思います。
(5)刑法
尾崎豊(本件原付)の配点が分かりませんが、20~30点くらいはあると仮定すると、70~80点満点の試験でB評価40点台の点が付いたということになるので、時間配分さえミスらなければAは付いていただろうことが悔やまれます。
刑法も、途中まではおおむね出題趣旨に沿って論述していたので、そんなものでしょう。
ド派手な途中答案で、「以上」すら書いていないですが、ちゃんと途中答案部分までの採点はなされました(採点者の心証に影響して、途中答案の事実による減点があったかまでは不明ですが)。
行為特定と占有の問題提起の直後に書いた「窃盗罪成立」に何点が付いたのかも気になるところですが…。
(6)刑訴法
20点程度の予想でしたが、完全に当たってました。
やはり、設問1(おとり捜査)で「一応の水準」として20~25点/50点、設問2(訴因変更)で「不良」として0点/50点でしょう。もはや設問2は実質的白紙答案ですし。
足切り点の判定が「〇〇系科目」で本当に良かったです。
Ⅲ その他(いろいろな成績通知書を見ての雑感)
この部分は、Twitterにアップロードされている成績通知書を眺めていた雑感です。
(1)上位者について
あまり言うことはないです。当然全部出来がいいし、短答も平均して140以上を取っている印象でした。
もっとも、上位者が上位者たるゆえんは論文も短答も優秀な成績であることに求められるので、分析もへったくれもありませんが。
(2)ギリギリ合格~不合格者について
さて、本題はこちらです。
ギリギリ合格した、不合格になった方の成績通知書も、タイムラインには複数流れてきました。これらを眺めていたときに、ふと気になった点があります。
それは、ほぼ全員といっていいほど選択科目が30点台だったことです(1名だけ40点台がいました)。
選択科目30点台はどの科目でも下位30%、Cの底からD評価になります。
ギリギリ不合格や合格の人の多くが「短答で数問だった」という分析をしており、そこに付されるコメントもまさに短答の重要性を説くものだったりすることが多かったです。
たしかに、単純な点数の積み上げでは、短答で数問なのは間違いありません。
ただ、このような方の短答の成績を見ると、短答が沈んでいた(合格最低点すれすれだった)わけではなく、受験者平均点程度は取れていたりします(つまり短答もB~C評価相当の点がとれている)。
短答を強化するのも一つの方法ですが、選択科目を「不良」から「一応の水準」とされる40点台(上位6割程度)にする手法も考えてよいのではないか、と思った次第です。
やはり、司法試験は「一科目も沈まないことが重要」ということに気付いたのが、成績通知書を見ていた感想です。